RELAY INTERVIEW

2025.03.06

「Summit VECTIV Pro 3」も「VECTIV Enduris 4」も、感覚はランニングシューズに近いな、と。──RETORUNNING #RI03

Reto
VECTIV️ Type
  • Enduris
  • Pro

ランナー神野大地と共に〈RETO〉を立ち上げ、ランニングクラブなどを通じて、走ることの可能性を押し広げている高木聖也さんと田村健人さん。青山学院大学陸上競技部の先輩後輩である二人。トレイルランニングで世界を狙う田村さんと、それを支えつつ、自身もランナーとしてトップクラスの能力を持つ高木さんに、ロードとトレイルの違いやシューズに求める性能について訊きました。

──田村さんは、トレイルランニングを始めてまだ3〜4年ほどですが、変化はありましたか?

田村 社会人になってからはまったく走っていなかったので、だいぶ身体を鍛え直すことになりましたね。結果的に15kgほど痩せました。トレイルランニングは、何より今の人生のほとんどを占めるものですから、生きがいが見つかったと捉えています。人生を賭けたいと思えるようになったから。短い距離よりも、やっぱり100マイルで結果を残したいと思っています。昨年の「Mt.FUJI」で初めて100マイルレースに参戦して、でも限界が来て、棄権してしまった。距離が踏めてなかったり、給水や補給がうまくいかなかったり、未知の部分がまだまだある。自分がどうなるのかわからない領域に挑戦する面白さを感じているところです。

──やっぱり100マイルにこだわりたい、と。

田村 昨年、モンブランのCCC(100km)に出場して、その盛り上がり方は異次元でしたけど、やっぱりどちらを目指すかとなったら、UTMB(100マイル)だと思いましたね。注目度が全然違いますからね。今はまだ70〜100kmのレースが一番向いていると思いますけど、それを少しずつ長くしていかないと。

──ライフスタイルも、走ることが中心になっていますか?

田村 都内に事務所があって、月曜から金曜は働いています。どうしても外せない練習、外せない山がある時には午後から行ったりもしますけど、基本的には会社員をしつつ、土日どちらかで山に行く、という感じですね。ただ、一週間の目標というかトレーニングメニューは(高木)聖也さんに決めてもらっていて、それに合わせて出社前に走ってます。今週は、1週間でおおよそ100マイル。今朝は18kmぐらい走ったのかな。自分でメニューを立てることもできるけど、やっぱり一人だと妥協してしまう部分もあるので、組んでもらった方が追い込めますね。

 

高木 田村は今30歳で、これから10年くらい競技人生があるとして、本気で世界を目指すことに夢があると思うんですね。僕らの会社の仕事もやってもらっているので、100%プロというわけにはいかないけれど、それでも世界を目指す環境は作れてきている。その中で、可能性を追求していくことは、シンプルに尊いなと思うんです。

 

田村 僕自身も目指せる環境があるなら、とことんやってみたいなと思っています。

──高木さんにとっては、トレイルランニングはどんな位置づけですか?

高木 僕にとっては、趣味です(笑)。ただ、目標がないと続かないから。目標を持っているとトレーニングの頻度も増えるし、体の調子も良い。目標が簡単すぎると、モチベーションも上がらないから、ある程度レベルが高いところに設定するようにしています。僕はトレランを始めて、まだ3年ですけど、去年の「信越五岳トレイルランニングレース」では3位に入れたんですね。同じ大会に出場すると過去の自分と比べやすいから、次は「信越五岳」で優勝を狙うのか、あるいは100マイルを目指すのか。まだ決めかねているんですが、僕はやっぱりロードとトレイルどちらも走りたい。年に2回、それぞれ目標レースを決めて出場するっていうバランスが、ちょうど良いのかもしれません。

──ロードを走ることによって、トレイルランニングにも良い影響がありますか?

高木 個人的にはロードの走力は、トレイルにも絶対に必要だと思います。我々が元々、陸上出身ということもありますが、走ることに変わりはないし、生理学上も基本的には似た能力が必要なはず。適性として別の部分があるのは理解していますが、それでも走力を上げることはトレイルにもプラスに働きますよね。もちろん、逆にトレイルで長い距離を走ることは足づくりになりますから、ロードのエリート選手にも活かせると思う。それに僕のような趣味で走っている人間は、どちらがすべてみたいな論調にはならなくて良いのかなと思っています。

──相乗効果があるわけですね。

高木 はい。でも、別の競技だとは感じていますね。マラソンも陸上の中では結果を出すための要素が多いと言われていて、いろんなものが噛み合わないと結果が出ない。トレランはさらに競技時間が長いですし、もっと要素が多くなりますよね。それに登りの強さみたいなものは、まだあまり解明されていない気がするんです。VO2max(最大酸素摂取量)が高い人が登りに強い、というのは間違いないだろうけど、それは一つの要素でしかない。トップ選手でも棄権することが結構ありますし、本当に多様な要素があるんだと思います。補給の仕方とか、それこそシューズとか。もちろん、前提として走力を高めた上での話ですけど。

──田村さんには「VECTIV Enduris 4」を、高木さんには「Summit VECTIV Pro 3」を履いていただきました。それぞれ感想を教えてください。

田村 トレイルではまだ履き込めていないんですが、ロードを走った感覚はランニングシューズに近いなと思いました。僕自身はロードの走りをそのままトレイルに繋げたいと思っているんですね。練習でもかなりロードを走りますし、トレイルだからと言って走り方を変える必要をあまり感じていないんです。その意味で、このシューズはロードもトレイルも同じ感覚で履けると思う。汎用性は高いんじゃないかな。「Summit VECTIV Pro 3」の方が、カーボンが入っている分、反発が強いはずなので気になるところですが、100マイルの後半は「VECTIV Enduris 4」の方が「足が残っていて良い」という話も聞いたので、実際のレースではまた違う感覚が出てくるのかもしれない。もう少し長い距離を練習で履き比べてから、実際のレースで履くかどうかを決めたいですね。

 

高木 僕が履いた「Summit VECTIV Pro 3」も、普通にロードで走っても良いですね。トレイルの不整地を走る際に、クッション性やスピード性はもちろん得られたら嬉しいけど、滑らないシューズがやっぱり安心なんですよね。「Summit VECTIV Pro 3」はラグがそれほど高くないとは言え、滑らないトレランシューズでありながら、この感覚はかなり良いです。僕は過去にトレランのレースは5回ほどしか走ったことがなくて、今まではあまりスピードは気にしていなかったんです。それよりも足型に合っていて、滑らないことが大事でしたけど、このシューズはそれを踏まえて、さらに先の景色を見せてくれる感じがしています。

高木聖也(写真右)

1992年熊本県生まれ。青山学院大学陸上競技部時代に、チーム全体の運営を司る主務を担当。大手銀行に就職した後、神野大地からの依頼を受け、マネージメント会社を立ち上げる。自身もランナーとしてマラソン、トレランのレースに出場。2023年「信越五岳トレイルランニングレース」では3位入賞。

田村健人(写真左)

1994年鳥取県生まれ。青山学院大学を卒業し、一般企業で2年間働いた後、高木が代表を務める神野大地のマネージメントを行う会社に入社。共に「RETO」を運営している。トレイルランニングと出会い、2022年より本格的にレースに出場。2023年「Mt.FUJI KAI 70k」優勝。マラソンの自己記録は2時間20分44秒。

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