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2025.04.28
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レースごとに適正なシューズを選ぶことと100mileへの挑戦 上田瑠偉×榎本一生 #TR03

Ueda Ruy
Enomoto Issey
Runners Pulse Associate Editor/SHOES MASTER Editor in chief
VECTIV️ Type
  • Sky

カーボンシューズなのに、Summit VECTIV Sky 2は本当にコントロールがしやすい(上田瑠偉)

〝シューズフリー〟を掲げているからこそ、勝負レースで履くのは説得力がある(榎本一生)

4月21日、MIYASHITA PARK POP UP STOREにてプロトレイルランナーの上田瑠偉選手によるスペシャルトークショー「100マイルへのステップアップ」が行われた。ファシリテーターを務めた『Runners Pulse』副編集長、『SHOES MASTER』編集長榎本一生氏との対談で、シューズの選び方や100mileへの挑戦などを熱っぽく語ってくれた。

レースごとに適正なシューズを選ぶということ

榎本一生

上田選手は、2019年にはスカイランナー・ワールドシリーズでアジア人として初めて年間総合優勝を果たし、2021年にはスカイランニング世界選手権でVK種目とCOMBINED種目(VKSKY2つの種目の合計タイムで競う)で金メダルを獲得。まさに日本を代表するトレイルランナーですが、シューズについてはメーカーと専属契約を結ばず、レースごとに自らが選ぶ〝シューズフリー〟を掲げるユニークな取り組みを行っていることでも知られています。そもそも、なぜサポートを受けない道を選んだのですか?

上田瑠偉

トレイルランニングという競技は、ものすごく複雑なんです。距離にしても、5㎞以内の短いバーティカルレースから100mileまでがあります。路面も、日本では木の根っこが多く、ヨーロッパは岩で硬い。雨が降ればマッドコンディションになり、それ用の対策が必要になる。そうしたコンディションの違いを、いちブランドのシューズでカバーするのはすごく難しいんです。また、所属選手となると常に最新モデルを履かねばならず、本当は前モデルのほうが合っていたのにそれを履けないということも起こりえます。そうした状況を考えた時、シューズフリーという選択肢が僕には合っていると思ったんです。海外遠征には、いくつか持って行って実際に試走してみて、本番に履く一足を選んでいます。

VECTIV SKY2の魅力

榎本一生

メーカーの思惑に縛られず、レースに合わせてベストな一足を自ら選ぶからこそ「勝負レースで履くということは、すごく気に入っている証拠」と言い切れますよね。最近では、Summit VECTIV Sky 2で参戦した第17回ハセツネ30Kで、大会新記録で優勝。出合いは、2月中旬に行われた本サイトの取材だったとか?

上田瑠偉

前作からグリップ感が増して、フィット感もさらに良くなって、めちゃくちゃ良いフィーリングでした。

榎本一生

そこで、8年ぶりの参戦となった大事なハセツネで履くと決めた理由は?

上田瑠偉

50Kオーバーのレース用のシューズに関しては、割と目星がついている一方で、ショートレンジのレースでなかなか自分の足にピタッとハマるシューズが見つからずにいました。そんな時にVECTIVの取材の話をいただき、高尾で走ったんです。正直、イマイチだったらどう話そうか、ちょっと心配していました(笑)。

榎本一生

その取材が初めてだったとは意外ですね。

上田瑠偉

それで履いてみたら僕の足にシンデレラフィットしたんですよ! 僕がシューズ選びで一番大事にしているのがフィット感なんですけど、これはいけるぞという感触があって、取材の段階でハセツネはSummit VECTIV Sky 2でいくと決めました。

榎本一生

3月のハセツネに続き、4月にはKOBE TRAILでもSummit VECTIV Sky 2をセレクトしてますね。

上田瑠偉

カーボンシューズって、ともすると跳ねすぎるというか、じゃじゃ馬感があるものが多い中でSummit VECTIV Sky 2は本当にコントロールがしやすい。足がしっかりと正確に地面を捉えられるので、路面に根っこが多い日本のトレイルにすごくマッチすると思います。

榎本一生

前作のSkyにも足を通されているんですよね?

上田瑠偉

前作からのアップデートで気に入っているのはソールなんです。パターンが一新され、前後にセパレートしていたソールが一体化したことでかなりグリップ感が増しました。それと、小指の部分がちょっとはみ出たデザインになっているので、ぎゅっと踏み込んでもぐねっといかないというか、捻挫をしにくいんじゃないかなと個人的には感じています。

榎本一生

シューズのデザインにはどこまでこだわっていますか?

上田瑠偉

黒とか暗い色は、街履きをするならカッコいいんですけど、レースだと足が重たくなるような気がするんですよね。やっぱりSummit VECTIV Sky 2のような明るい色のほうが、テンションも上がります。

100mileへの挑戦

榎本一生

上田選手は、19歳からトレイルランニングを始めて、23歳でUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)シリーズのCCC 101kmで準優勝しています。その後、スカイランニングにシフトをして、比較的短い距離のレースを主戦場としてきましたよね。そうしていよいよ、満を持して100mileレースに挑戦するとか。

上田瑠偉

もともと漠然といつかは挑戦したいと思っていたんです。僕といえばスカイランニングで、山岳地系が強いイメージだと思いますし、100mileへの適性はやってみないとわからない。だからこそ、楽しみなんですよね。これまでの最長は中国で走った125㎞ですけど、胃腸トラブルもなくて、意外と適性があるんじゃないかと思ったりもしています。

榎本一生

目標となるレースは決めているんですか?

上田瑠偉

狙うのはアメリカ・カリフォルニア州で行われるウエスタンステイツ・エンデュランスランです。世界で最も歴史が長く、権威のある100mileレースで、出場するには抽選の他にも予選レースで上位になってゴールデンチケットを獲得する必要があるのですが、いずれにせよ出よう思って出られるレースではありません。

榎本一生

CCCでも走った経験のあるシャモニー(UTMB)ではないんですね。

上田瑠偉

僕の走る原動力となっているのは、見たことのない景色の中を走れること。贅沢なことなんですけど、シャモニーには何度も行っていて見慣れてしまっていて新鮮さがないというか。そういう意味でアメリカへの憧れが強いんです。

榎本一生

なるほど!

上田瑠偉

初めてトレイルランニングで海外遠征して、100㎞のウルトラトレイルに出た地でもあります。ここまで100mileを取っておいたのは、20代半ばでやると精神的に激しく消耗してしまい、30代になってから心が疲れてしまうのではないかと思ったから。今年32歳になるんですが、今がちょうどいいのかなと。もちろん結果を出すつもりできちんと挑戦しますが、40㎞とかで数秒を争うバチバチ感も好きなので、短い距離に戻る可能性もあります。いずれにしても、40歳まではバリバリ走っていたい、新鮮な気持ちで挑戦を続けていきたいんです。

VECTIV
フットウェア「VECTIV 3.0」の発売を記念したポップアップストアを渋谷・宮下公園内〈RAYARD MIYASHITA PARK〉は、5/11まで期間限定でオープンしています。トレッドミルにて、試走もできますので、アップデートしたVECTIVをぜひお試しください。

THE NORTH FACE RAYARD MIYASHITA PARK POPUP STORE
場所: 東京都渋谷区神宮前6-20-10  RAYARD MIYASHITA PARK North1F  N109区画 → Google map
期間: 2025年3月14日(金)から5月11日(日)
営業時間: 11:00~21:00
上田瑠偉

1993年長野県大町市生まれ。佐久長聖高校駅伝部出身。2014年「ハセツネ」で、コースレコードで優勝。2019年にはスカイランナー・ワールド・シリーズの年間総合優勝を果たすなど、日本を代表する山岳ランナーとして活動を続ける。また、「JAPAN F.K.T.Journey」など自身のプロジェクトも続けている。

榎本一生

1976年千葉県生まれ。フリーランスのエディター、ライター。Runners Pulse副編集長/SHOES MASTER編集長。

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